そば粉の種類
(1)玄そば・・・脱穀した後の殻つきのそばの実のこと。

(2)丸抜き・・・玄そばの殻をむいたもの。私はこれを石臼挽きにしたものを使用しています

(3)一番粉・・・製粉して最初に出てくる粉で、色が白く、ほとんどがでんぷん質。更科粉とも言う。私は打ち粉に使用。

(4)打ち粉・・・麺棒で延す時や切る際にくっつかないように、麺が乾燥しないために使う。玄蕎麦を挽いた時に最初に出てくる粉。
そばは75日  そばは種まきから収穫まで短い。本州では刈り取りは種まきから約70日前後。虫が出ても孵化するまでには収穫出来る。
そばの自給率
 そばの自給率は15%で、85%は輸入の粉である。主な輸入先国は中国、アメリカ、カナダなどです。
輸入の粉が敬遠されるのは、船による長旅と35℃を超える真夏時、常温倉庫に保管されたら味と香りが悪くなるとの理由からです。
石臼とロール挽き
 石臼挽きと聞くとなんとなくいい粉で、おいしそうと思いあます。確かに石臼挽きの粉は、そばの命である香りが高い。
 ロール挽きの粉は、熱を発生するので風味が落ちると言われております。
 実際に打ってみても、水回しの際の香りが良く、持続するのも石臼挽きの粉のようです。
蕎麦打ちの道具
 蕎麦打ちに必要な道具・・・@練鉢 A麺切り包丁 B麺棒 C伸し板 D小間板 Eまな板
                  F計量カップ G計量ばかり H篩 など
 最近、手打ちそばブームとのことで函館でも道具を展示・販売しているお店が増えています。
三種の神器
    (私にとっての)

(1)木鉢・・・木地は木製、樹脂製、木乾製とさまざまありますが、漆塗りとなれば数十万もする。金属製のボール
        でも代用できますが、動かないどっしりしたものが良いでしょう。どうせなら、大きさは直径54センチ
        以上のものがあれば腕が上がっても、20人前ぐらいまでは対応できます。

(2)包丁・・・刃の長さが30センチ以上で高さのある物が良い。
         
(3)麺棒・・・真っ直ぐなものが良い。90a、100a2本の計3本は用意したい。私は、均等な生地にするため軽めで細目の麺棒を
        使っています。
 つなぎ
(そば粉だけではつながりにく
 いので、水が加わると粘りと
 弾力性を発揮する小麦粉を
 つなぎに使うことが多い)

(1)小麦粉・・・左記の理由のほか、小麦粉は安くて手に入りやすく、蕎麦の風味を壊さないと言われる。強力粉
          
が一番つなげる力が強く、中力粉が次。薄力粉は向かない。
 

(2)その他・・・@山芋 A卵 B布海苔 C長芋 D大豆 などがある。
割り粉の割合
 蕎麦の話の中で「
二八蕎麦」や「10割蕎麦」などと耳にします。「二八蕎麦」の「二」は割り粉(強力粉か中力粉)で、「八」は蕎麦粉の割合です。「10割蕎麦」は全て蕎麦粉でつなぎはありません。また、外一(十一そば)や外二で打つ蕎麦屋もあります。

 一般的に「二八蕎麦」、が一番食べやすいと言われています。そのため、「二八蕎麦」との言葉がよく聞かれるのでしょう。

 初心者のそば打ち教室などでは、「
三七蕎麦」を打たせることが多い。それは、つながり易いからです。蕎麦の本で紹介されている「ソバ屋さん」の中で、「三七」が一番美味しいとの声も聞かれます。
 「がびの」では、
十一蕎麦を提供しております。
蕎麦打ちの工程  
 蕎麦打ちの工程を節目ごとにならべてみます。
 
  木鉢(水回し・練り) 延し(丸出し本のし) 庖丁(切り)ゆで盛り付け
 水と加水  手打ち蕎麦で最も大切なのは、蕎麦粉技術でしょう。どんなに腕が優れていても蕎麦粉が良くなかったらそれなりの蕎麦によりならないでしょう。

 水は近くの「森町の駒ケ岳」の水を使っています。ミネラルが豊富な水で打つそばは甘味が増すと言われます。

  加水率は蕎麦粉や製粉の仕方でも異なります。外皮に近い粉ほど多く、芯にいくほど少なくなる。また、機械製粉ほど少なく、石臼挽きは多くなるのが一般的です。
 練りの回数  そばのコシは練れば練るほど出るのだろうか。蕎麦打ちは時間との勝負なので、時間をかけて練れば良いというものではない。100回と言う人もいれば30回との人もいる。
 私は生地の表面がツルツルとツヤが出て、しっとりとしてきたら終了と決めています。硬さは耳たぶくらいがちょうど良い。
 菊練りとへそ出し  菊練りの目的は水分をしっかりと吸収させ、そば粉の粘りを引き出すことです。また,しわを菊の花の1点に集中させるのは、延しでひび割れを防ぐねらいもあります。

 へそ出しは、菊練で出来たしわと穴を消すのが目的です。同時に、円錐形に絞り込んでいく過程で、そば玉の空気を徐々に抜いていく役目をします。
 延 し
 水回しの次に面倒なのは延しです。丸出し・肉分け・本延しをします。本延しで均等な厚さにするのが大事です。私は1.2ミリにしております。
 切 り
 包丁で小間板を押して幅を決めます。強すぎると太くなり、弱いと細くなります。リズムで切ります。厚く延すといくら細く切ろうとしても無理です。「がびの」ではマッチ棒の芯ぐらいに打ちます。
 茹 で
 『手打ち』の蕎麦は10割や更科蕎麦でしたら僅か10秒程度。二八でも40秒ぐらいが茹でる時間です。乾麺に慣れているご婦人たちはどうしても茹ですぎますのでご注意。
 家庭で茹でる場合は、出来るだけ大きな鍋で、たっぷりの水、一人前ずつが基本です。また、太さにより時間が長くなるのは当然です。
 洗い
 水を入れたボールに上げ、流水でやさしくかき回し、それを3回、最後にもう1度冷たい水に入れ締める。夏場は氷を入れた中に入れて締めると良いでしょう。
 三たて
 そば打ちの話題になると「三たて」との言葉を耳にします。三たてとは「挽きたて、打ちたて、ゆでたて」の3つを言います。
 
 10割蕎麦  
 10割蕎麦は生粉打ちとも言われ、そば打ちをする者にとっては究極のゴールである。
 
 10割蕎麦が一番美味しいかどうかは?食べ物はあくまでも好みですが、やはりそば粉の味を一番実感できると思います。
 湯練りと水練り  
 10割蕎麦を打つときには湯練で打つことが多く見うけられます。湯練と水練りの違いは、蕎麦粉の中のたんぱく質を利用するか、でんぷんを利用するかの違いです。水練りは水溶性たんぱく質を引き出すことで、湯練りはでんぷんを糊化することで粘性を発揮させます。

 水練りの場合は蕎麦粉に恵まれないとなかなかつながらない。香りが飛ぶと言って湯練りを嫌うムキもありますが、熱湯でかくそばがきは、豊かな香りこそ身上ですので…。

 「がびの」は水練りです。
 かえし
 かえしとは、醤油を原材料に、砂糖、みりんを加えたものです。中火でよく煮たものを本がえし、熱を加えないものを半がえしと言います。いずれも、数日間か数週間寝かせてから使用します。
 
 だ し
 鰹節を主に、椎茸、昆布でとります。「がびの」では鰹厚削り・宗田鰹・薄削り・鰹節の粉の4種類を使っております。
 つ ゆ
 だしとかえしを合わせたもの。たれと言う人もいますが、蕎麦を打つ方はつゆと言って欲しいですね。たれは焼肉です。通常、だし3でかえし1の割合であわせます。

    

@ 蕎麦粉と割り粉をよく混ぜる。
   割り粉・・・強力粉か中力粉。薄力粉は繋ぐ力がないのでだめ。初心者は強力粉が良いでしょう。
          強力粉はスーパーで売ってます。
 ・初めて挑戦する量としては、蕎麦粉400g、中力粉100g。水は粉全体の43%を用意します。
  この量で5人分あります。
  写真の量は2キロ、20人分です。
A 水回し・・・粉に水を均等にしみこませること。  この工程が一番大切です。
  ・最初に水全体の半分を・・・パン粉のようになる。
  ・次に残りの水の半分を。※失敗の無い入れ方です。私は最初に95パーセント入れます。
  ・硬さ (耳たぶの硬さが良い) により、残りの水を入れる。
 水を入れすぎて軟らかくしないように。でも、硬すぎても切れる蕎麦になります。ぴったりを目指しましょう。
   
B 練り・・・腰を入れて、練ることによりコシのある蕎麦になると言われます。

 ・腕の力でなくて、体重をかけるようにすると良いでしょう。よく回数をたずねられますが、100回が目安です。
 
 生地がなめらかになるのが終了のめやすです。やればやるほど良い訳ではありません。また、余計な力が入らないよう腕が真っ直ぐ伸びることがポイントです。
   

 コシがあるとは弾力性があり、歯ごたえがあることです。あるいは歯ざわりがよいこと。硬いのとはちがいます。
C 菊練り
 ・練りが終わりに近くなったら、次が菊練りです。そば玉内の空気を絞り出すためにやります。

 ・面倒な作業であるが菊の花にこだわることはありません。苦手の人が多いようです。
D へそ出し

 ・そば玉の中におりこんだ空気を抜くためと生地のしわをとるためにやります。

 円錐形にする。次の地のしにつなげるために大切。

 生地にしわが無いようにすることです。
E 地のし

 ・両手で生地を回しながら、平らにする。縁をつぶさないように注意しましょう。

 ・直径30cm程度にする。

 あくまでも、平らな面になるようにすることがポイントです。
F 丸出し

 ・麺棒を使い、生地を回転させながら円を大きくする。この時麺棒は手のひらでなく、握った形でその中で回転させる。
 ・生地を回転させながら丸く伸していくが、回転角度は30度くらいが良い。角度を大きくすると、円がくずれる。円でなくなると次の角出しが困る。
 ここで大事なことがある。麺棒の回し方である。写真のように折り曲げた指と手の甲の間で回転させるようにする。ここだけが事前に練習しておくと良い。
 ・直径40cm程度にする。
G 角だし
 
 ・円い生地の4つの角を出して、円だった生地を正方形にすること。
 ・生地を麺棒にしっかり巻いて、数回ずつ回転させる。4つの面を出すが、回転数のバランスで限りなく正方形に近づくことが出来る。
 
 麺棒にしっかりと巻くようにする。
H 本のし

 ・麺棒で生地を薄くのす。長方形の形にのす。打ち粉を忘れないように。
 ・乾燥しないように、麺棒に巻きながら均等にのす。できたら麺棒を3本使ってやりたい。
 ・横75cm、縦65cm、厚さ1.2mmほど(1円硬貨の厚さ)になると良い。

 この段階が一番時間がかかる。しかし、乾燥を防ぐのには一番時間をかけたくない工程です。
I 折 り
 ・長方形の横を半分に折り重ねる。次に縦、縦と折る。

 折り方を間違うと蕎麦が短くなってしまう。
J 切 り
 ・こま板を当てて、打ち粉をたっぷり降り、均等に切る。
 ・1.2〜1.5mm幅で切る。

 マッチ棒の芯の太さが理想と言われます。切りが難しいと思う人が多いようですが、切りは現在より下手になることはありません。しかし、水回しや延しはベテランでも失敗することがあります。回を重ねることで切りは上達しますので心配はいりません。。

 


             

        

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